設計エンジニア募集と言いながら製造現場に送り込む派遣会社

派遣会社

合同転職セミナーで一つのブースに誘い込まれ、話を聞いていると派遣会社でした、という、ある若いエンジニアのお話を紹介します。

合同セミナーとは、一つの会場に色んな企業がブースを設けており、転職活動をされている方が一度に何社もの話が聞けるイベントのことです。他の呼び方もあって、合同説明会とか合同面接会、転職フェアという題目だったりします。

話を元に戻しますが、そのエンジニアは、それまでの技術経験を生かしてモノづくり系の会社を探している矢先、とある派遣会社から声をかけられたと言います。

派遣会社の説明員に声をかけられた直後は、お決まりのアンケート記入と職歴などを記載するよう指示を受け、言われるがままにシートの記入を進めたそうです。

設計業務の案内がされると思いきや製造現場に配属

ざっくり派遣会社の説明を受けた後、ご経験を考慮して紹介出来る企業があると言われ、入社手続きを急がれ入社の決断をしたのが後の祭りでした。

経歴から判断して、紹介出来るクライアントが数社ある、というような話は確定情報ではなく、あくまで入社の意思を確定させるための誘い文句でしかありませんでした。

結論を先に書きますと、その方の行く末は設計部門に関わることなく、生産現場の組立作業です。

若いエンジニアの卵をいきなり設計部門に投入ではなく、モノづくりの基本を勉強する手段として、ある一定期間、生産現場で実習させるのはエンジニア育成のセオリーでもあります。設計業務というのは実に幅が広く息の長い業務になります。

一声で設計と言っても、どの工程を担当するかによっても難易度も違いますし、過去の設計経験があるにせよ、どこでも配置できるほど単純な話ではありません。

という前置きはしましたが、当該エンジニアさんに大したヒアリングもせず、生産現場の業務を案内したようです。

スキルの積み上げを考慮しての生産現場なら問題なし

仮に、経験の少ないエンジニアに現場を経験させ、モノづくりの過程を勉強させる事を目的とし、現場経験を生かした設計業務へのステップアップなら社員育成を考えての処置と判断できます。

しかし、殆どのケースで一度生産現場配属になると、そのまま現場作業の継続でしょう。
そのエンジニアの行く末など、営業担当の知る由もなく、です。

その理由は実に皮肉なものです。

派遣会社の営業は割合短期間で配置転換がなされます。
つまり転勤ですね。他の事業所への転勤です。

現場に投入されたエンジニアの育成プランが存在するならば、一定期間の現場経験を糧に設計部門へのアプローチもあって良さそうな話です。

しかし、それは理想像の話であって、殆どの場合、派遣社員の育成の事などはさておきで、設計部門であれ、生産現場であれ、営業担当から見れば1人配属させてポイント1でお終いです。

人材を物でしか見てない派遣会社に入ってしまうとこれが現実です。
自分の成果しか考えない無責任な営業担当の姿です。

現場見学という名の就業を決定付ける打ち合わせ

派遣会社の営業担当より、貴方にマッチングしそうな取引先の職場見学と案内され、先方に気に入られてしまえばノーが言えない状況を作られてしまいます。

派遣会社の言い分は、クライアントに気に入られたら勤務を決めるしかない。
お断りは出来ないと言ってきます。

おかしいですよね?

クライアントとのマッチングは、エンジニアの同意があっての話では?
技術の話もわからない営業が勝手に決めてしまうなんて変な話です。

これこそが、早い段階でエンジニアを現場に投入して次のエンジニアの配属に取り掛かる。エンジニアのスキルアッププランなんぞ二の次。悪質以外の何物でもありません。

まとめ

クライアントで設計業務を行うにあたって、対象物の機構や構造などを理解する過程で生産現場を経験するのは大いに有りだと思います。モノづくりの基本を知らずしてCADオペから入り、中途半端な理屈を覚えるよりずっと有益な経験だと感じます。

ただし、クライアントと同意が出来ている事が条件ですし、単に生産現場に投入されるのは、派遣会社の勝手な都合ですから注意が必要です。採用人事や営業の話を鵜呑みにせず、確かな方針に従うよう努めたいものです。

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