登録型および常用型の派遣社員が派遣先から正社員登用したいとの申し出を受けた場合、この転職は違法なのか?という問い合わせを受けます。
よく言われる「引き抜き」という行為を心配されているのだと思いますが、転職の経緯によっては派遣元からクレームが生じることは必至です。
この場合、転職したくても無理ということか?について考えてみたいと思います。
派遣会社から派遣先への転職は可能です
各派遣会社は、人材確保が財産であり、出来るだけ多くの社員を確保したい旨はどこも同じだと思います。よく聞かれるのが、「当社は派遣先からの引き抜きを許可しない」風のお触れを出している派遣会社は多いです。
これを踏まえて、まず登録型派遣会社の場合ですが、概ね3ヶ月契約更新だと思いますが、契約が終了した後の制約は設けることが出来ないはずです。つまり派遣会社の在籍は、就業期間の範囲のみであって、その後の就職活動に制約はないという理解です。
一方の常用型派遣会社では無期雇用に当たりますね。
仮に無期雇用だから派遣社員の転職に応じられない、という制約を設けてしまった場合、常用派遣会社を選ぶメリットが薄れる、というよりむしろデメリットでしかありません。
これを正当化してしまうと、一度入った常用型派遣会社から抜けれられないことになり、会社の存在価値が無くなってしまいます。
派遣先に転職すると法的措置を取るなどと脅される?
例えば派遣先に同業他社の存在や、別の事業所でも今よりも条件の良い派遣会社が存在することは可能性としてあるでしょう。大前提として、移籍先および転職先に機密情報を持ち出すような行為は決してあってはなりません。
しかし、今よりも条件の良い派遣会社、または派遣先に変わろうとする場合に、機密情報を持ち出す事が更々目的ではありませんし、純粋に自分に合う会社選びをしたに過ぎないわけです。
よって、法に触れる行為などはないということです。
派遣先への転職が法に触れない理由は至ってシンプル
派遣先から誘いを受けた場合の解釈は決して難しくありません。
仮に転職したいと考えるキッカケが、派遣先からの声掛けであったとしても、転職までの経緯はすべて自分の判断です。まず所属する派遣会社を自らの意思で退職する。続いて派遣先企業の門を叩く。それだけのことです。派遣先企業さんが勝手に所属を変えるわけではありませんので、何も違法行為は行われていません。
ただし、所属する派遣会社から移籍に関する規約が設けられている場合はその限りではありません。労働契約書を確認していただきたいのです。例えば現在の派遣先業務終了後、派遣先への転職不可というような契約が交わされていないか?という確認です。
この場合、あくまで書面で交わされている事が条件です。口頭で伝えられたような情報は全く効力はありません。
まとめ
派遣会社の運営は、純粋に派遣社員の数に比例して売上が上がるため、稼働人数の確保は非常に重要な事です。よって優秀な派遣社員が引き抜きに遭うリスクは往々にあって、社員流出を防ぐために移籍や転籍がされないようなアナウンスをする場合があります。
しかし、派遣社員の立場で考えれば、将来の身をどこに任せるか大事な選択肢となるのです。