派遣会社を検討されている方にとって、派遣社員の給与がどのような仕組みで発生しているのかご存じでない方も多いかもしれません。派遣社員の働き方というと、多くは派遣先の職場で就業しており、雇い主とは違う環境に在籍することが殆どです。
つまり雇い主と職場が違うのに給与はどこから支払われているのか?どのように雇用契約が結ばれているのか?について解説したいと思います。
派遣社員の給与相場は安い?業務の種類に関係なく安いのか?
派遣会社を検討されている方の多くは、同業の正社員を辞めて派遣社員になった場合の給与がどのくらいになるか?という事が一番の気になる点だと思います。
平成30年度の「労働者派遣事業報告書」によると、派遣社員の平均年収が357万円。これを月収に換算しますと約30万円です。
一方で、国税庁がまとめた「平成30年分民間給与実態統計調査結果」によると、正社員の平均給与は504万円です。さきほどの派遣社員の平均が357万円ですから、差分は147万円と大きく開きがありますね。
ただし、これは全業種においての平均ですから、一律で派遣社員の方が条件が悪いとも言えません。派遣社員の平均年収を大きく上回る人もおられますし、就業する業種や職種によっては正社員との開きが少ない場合もあるのです。
派遣社員の給与は年代や地域によっても異なる?
派遣社員の給与は、地域性が大きく関係し、首都圏に近いほど水準が高いといわれています。一つは地域物価による差もありますが、何より大都市圏に多くのジャンルの業務が集中しており、専門性の高い業務が集まりやすいという特徴があります。また専門性が高いということは、そこに求められるスキルが高いことで平均的な給与水準より高めに設定されるという理屈です。
また、正社員の場合は長く勤めて少しづつ給与が上がっていくイメージがありますが、派遣社員の場合は長く勤めて給与を上げていくというより、スキルレベルで給与が決まるイメージが強いです。
特に企業さんから見た場合、一時的な負荷増大をしのぐ為に派遣社員を使うわけですから、即時業務に就けるか?即戦力となれるか?ということが給与判断の重要なポイントとなります。派遣先のニーズにどれだけ対応できるスキルを持っているか?ということです。
派遣社員として高い給与相場で働くためにやることは?
派遣社員として給与水準の高い条件で働きたい場合、地方よりも都市部の就業場所を選んだり、平均給与の高い業種を選ぶ、或は派遣先で正社員登用精度があれば、その制度を利用して正社員を目指すのも1つの方法かもしれません。
ただし、これらには共通している要素があります。
いづれも今よりもスキルレベルを上げる必要があるということです。どんな職種にもスキルレベルによるランクがあり、資格を1つ増やせばよいという単純な話ではありません。派遣先の業務を、より多く任されるようになるために、資格の数も含めて業務遂行能力の向上、つまり実務レベルを上げていく必要があるということです。
派遣社員として給与が高いといわれる職種は?
派遣先でどのような業務をするか?によって給与水準が変わってきます。パソコン操作が平均的レベルで行えるデータ整理的な業務では時給1000円程度から、ということになりますが、システムエンジニアやプログラムなどのIT系の業務になると3000円~4000円という時給単価も見えてきます。
また、プロジェクト管理的なキャリアをお持ちでしたら、もう正社員と肩を並べるか、もしくはそれ以上の給与を手にすることも可能になります。
よって、派遣社員だから給与水準が低いということではなく、自身の持つスキルが給与水準を決めるという結果に繋がります。
まとめ
派遣社員と正社員では、職場に置かれた立場の違いから給与だけで単純比較はできません。しかし、積み上げた経験値や保有する資格が派遣先のニーズとマッチすることによって、給与水準が低いと思われがちな派遣社員でも、高い給与条件を手にすることが可能だということです。ここにも、給与条件を取るか、就業環境を優先するか?という選択肢があることも忘れてはなりません。