派遣会社のマージン率が高いとか聞かれたことはありませんか?
マージンって?直訳すると、余裕とか許容範囲とか、そんな意味に想像されると思いますが、いったい何なんでしょうかね?これが高いから低いからという事が直接派遣会社の良し悪しとして評価して良いのか?という疑問にお答えしたいと思います。
マージン率って何?ピンハネという言葉とは何が違う?
世間一般では、派遣会社のマージン率が闇とか、ピンハネが多いから詐欺のような会社だとか悪い意味で使われる事が多いです。日本人って、知らない事にはすぐに闇とか詐欺とか言われるので本質の部分を知らなければなりません。
マージン率とは?
実はマージン率を簡単にいうと粗利(粗利益)に相当します。
では粗利ってご存じですか?
粗利は売上高から売上原価を差し引いたものです。
売上高はわかりますよね?
名前の通りです、売り上げた額ですね。
もう少し詳しく書くと、派遣会社の多くは派遣社員1時間あたりの契約金額を決めていますので、その数字をベースに1ヶ月に何時間就業して・・・という計算です。
分かりやすいように、実際に簡単な計算でイメージしてみましょう。
例えば、ある派遣社員の1時間の契約金額(チャージともいう)が仮に2000円だとします。
1日8時間が定時だとして、1ヶ月22日働いたとしたら売上高は
(2000円/時間) ✕(8時間/日)✕(22日/1ヶ月)=35万2千円
という計算です。
この金額が派遣先(取引企業さん)から派遣元に支払われるのです。
派遣会社の売上高の考え方はとってもシンプルです。
では、売上原価ですが、ここが我々の給与に関係する費用です。
売上原価をもう少し詳しく説明しますと、我々の給与のみならず賞与積み立てや退職金積み立ても含まれます。つまり売上原価というのは社員にかかる経費ということです。
ここで先ほどの売上高から売上原価を差し引いたものが粗利になるわけです。
もうだいぶ見えてきましたね?どんどん行きますよ!
粗利がわかりましたので、この粗利を売上高で割ったものが粗利率です。
すなわち、粗利率がマージン率ということになります。
売上から経費を差し引いたら幾ら残りますか?という意味です。
別名ピンハネですね。実際はハネてるわけではないんですが・・・
ピンハネって言葉が悪いですよね?
何か悪いことをしてるイメージが強い言葉ですが・・・
もう何のことかわかりましたでしょ?
でも、本題はここからなんです。えっ??
粗利が純粋な会社の利益ではない!
大手派遣会社のマージン率(粗利率)がいくらか?なんていう記事は見られたことあるかもしれませんが、だいたい25~30%付近と言われています。
言い換えると、派遣先から支払われた金額の約30%を派遣会社がピンハネしてるの?っていう言い方になります。確かに30%も?っていうと相当に印象が悪いですよね。
でも実際は違うのです。
30%も利益が出るなら万々歳ですよ。
この粗利の中から、いろんな経費が引かれて残ったのが数パーセント。
会社を維持するためには随分と経費が掛かるのです。
限りなく1%に近い数字が派遣会社の純の利益。それが営業利益なのです。
たったの?って思われると思います。
どこに消えたの?って思うでしょ?
派遣会社の原価のからくり
今度は、粗利から経費を差し引くのですが、
皆さんが闇だと言っている経費の項目が沢山あります。
経費の項目挙げてみますね。
まず営業社員の給与・営業活動するので営業経費(交通費・社用車・駐車場代)、派遣社員の社会保険費、人材開発費用(採用人事)、広報、オフィスの賃料・光熱費などなど。
その他、社員が有給取得した場合、派遣先には費用請求しませんので、派遣会社の費用負担になります。
代表的な項目だけでも結構あることにお気付きだと思います。
これらの経費を粗利から差し引いた結果が派遣会社の純粋な利益になるんです。
どうですか?これが闇と言われる部分の詳細です。
というか、ぜんぜん闇ではないんです。
粗利率が40%も50%もあるのでしたら怪しいという言葉の真意もわかりますが、25~30%の経費は良心的範囲だと思います。これで利益率1~2%と言われる業界ですからね。
あんまり儲からないイメージですね!?笑
マージン率は闇でもなければぼったくりでもない?
理にかなった経営はしていると思いますが、少しでも社員へ還元しようと考えるならば、オフィスの賃料は安めのところで、とか、福利厚生面を充実して欲しいとか、教育訓練に力を入れて欲しいなど、居心地の良い派遣会社を目指すために、社員からの要望にも応えている派遣会社もあります。
それはホームページの情報であり、実際に派遣会社への訪問をするなりして確認されると良いと思いますよ。しっかりリサーチすると色々見えてくるものです。
単純に給与の高い低いだけで派遣会社を比較しにくい
どこの派遣会社が良いとか悪いとかの議論は良く耳にしますね。
しかし、派遣先から頂いてる契約金額(チャージともいう)も違えば派遣社員に支払ってる数字も違いますし、福利厚生も単純比較することができません。また、給与の額面を見ただけで派遣会社の良し悪しの評価をするのは難しいということです。
派遣会社を検討される場合には、単純に提示された給与の数字にとらわれずに、総合的な判断を強いられることになります。
まとめ
派遣会社のマージン率の考え方を紹介しましたが、一概にピンハネだとかボッタクリではない?ことがわかりますよね。基本的に利益率が出にくい産業でもあります。大手モノづくり産業のように純利益が10%近く出るわけでもなく、少しでも利益が出るように経費削減や、1つの派遣先に派遣社員を複数人配属させる等の工夫を積み重ねているのです。