中途や春の新卒として就職できなかった第二新卒の方を対象として、就職セミナーや就職ガイガンスといった催しは各地で行われていますし、目にされた方もおられると思います。
就業先を探しておられる方からは、一度に色んな企業の話を聞けるとあってメリットも多い催しとして評価もされています。
そこには決まって派遣会社の姿もあるのですが、お誘い文句が酷いと耳にしたことがあるので紹介したいと思います。
研修カリキュラムもないのに研修ありで求人アナウンス
派遣会社といえば、エンジニア経験アリの方であれば、それまでの職歴で自らを売り込むことが出来ると思いますが、未経験の方および、異業種からの参入者は具体的に技術職のイメージを描くことができません。見たことない世界を想像するのは簡単ではありませんね。
さて問題はここからです。
ガイガンスに参加されたとある女性は、派遣会社のプレゼンターから声をかけれらました。技術系とは無縁の前職時代から、エンジニアと言われる業務に興味はあったと言います。
どの業種もそうですが、憧れと実体は大きく違います。そのため、未経験でも独学等で勉強して就業出来るレベルになれるのか?と相談されました。付随して、何の資格を取得すれば入社できるのか?という質問もされました。
プレゼンター(採用人事担当)の答えはこうでした。
未経験者の入社を積極的に受け入れています。入社直後に、貴女のカウンセリングを行い、教育プランの話、どういう業務に就けるか?等の相談を受ける技術担当者がいるので、ということで即日入社を迫られました。
彼女には未経験者にそんな旨い話があるのか?という疑念と、エンジニアに転身できるのなら?という若干の希望もあり、迷いながらも入社の仮手続きをされました。
後日、つまり入社日ですが、技術アドバイザーなる方の元に出向いたところ、悪夢の始まりです。
最初にカウンセリングから始まると思っていたら、1枚の加工図(機械系の方ならわかると思いますが、機械製図の教科書に載っているような図です)を渡され、それをCADで描きなさい、この一言の指示だけで研修1日がスタートです。
設計とかCADとか未経験者には理解しがたい言葉
設計者を派遣する会社であれば、未経験者に設計の思想や心得から教えるのが正しい手順だと思うのですが、彼女に課せられた課題は、何やら見たこと無いパソコンCADを使って機械加工図を描かせることでした。
図面というものを見ることも初めて、CADというものが一体何の役割を果たす物かもわからない身です。それ以前に、設計とは何なのか?すべての手順がバラバラです。もちろん説明があったわけでもありません。当初聞かされていたカウンセリングなども皆無。本当に酷い話です。
その後は、ほぼ自習に近い状態が続き、同じ部屋で研修という名の自習をしている方に教わったという始末です。
初心者でも大丈夫です、という言葉の真相は何なのでしょうか?
これがエンジニア派遣の実態
派遣会社が研修と言っている内容は実にお粗末な場合が多く、CAD端末を使って図面を描く、というよりトレースを実習する程度の内容がまん延しているのです。
「我々は設計者を採用しています。」「設計者を育成しています。」
言葉こそ間違っていませんが、CAD経験が設計そのものと考えていては残念と感じるほかありません。
CADオペレータ業務を下に見ているわけではありません。
オペレータ業務も立派な業務です。CAD端末の操作が出来れば良しとなるわけではありません。図面ルールの教育も無くしてCAD端末操作を覚えても何にも生きてこないのです。
このような状況ですから、派遣先でスキル不足の指摘を受けるのも伺えます。
まとめ
異業種から、あるいは技術経験の無い方がエンジニア派遣の会社に入る場合は、初心者向けの導入教育が必須となります。その場合、どのような人が未経験者の育成をされているのか?という事を見極めるのが重要なポイントになります。
採用人事担当者の甘い口車に乗らず、入社決断前に技術サポートの担当者と面談する等の確認をしたいですね。入社の決断を焦らせるような誘導アナウンスは要注意です。